何か大げさな装置をとりつけたギブソンのレスポールギターがある。
エレキギターが好きで自分でも演奏する人であれば、この装置がどんな機能を持っているのか想像がつくかもしれない。
これは、弦のチューニングをオートマチックでコントロールする最新のチューニング・システムなのだ。
これまでにもアナログ式?でレバーとスプリングを使ってレギュラーと特定のチューニングを切り替えることができる装置はあった。
写真と文章だけでは、このシステムでどんな音の変化が可能か、理解できない。興味のある方はサイトリンクをたどり、QTムービーでその音を確かめてほしい。
テルミンを使い、バイオリンの弓でレスポールを演奏してしまうロックギタリストのジミー・ペイジが、このチューニング・システムを使っているそうだ。さもあらんである。実際にできることを音で確認するとジミー・ペイジが使いたくなったことがよくわかる。
使い方は、あらかじめ自分が必要とするチューニング・パターンを設定し、システムに保存しておくことができる。
弦のテンションを変えるのは各弦に対応した6つのモータで行っているようだ。
興味があるのはどれくらいの精度で何音くらい変化できるのかだ。
精度は2セント。といってもあまりよくわからないが、かなり精度は高い。
セントとは音程値と呼ばれ、1オクターブを1200セントで表す。平均律では同じ音程差の半音が12個でできているので、半音1個分が100セントになる。2セントの違いはたぶん聞き分けできないだろう。
音程の変化は物理的にギターに張られている弦の張力バランスを保ちながら音として遜色のない範囲ということは想像できる。
マニュアルをダウンロードしてみると次のような表がみつかった。
各弦とも平均して半音ステップで+3音、−5音くらいになる。チューニングを変化させるのに必要な時間は3〜5秒くらいだそうだ。
この装置、実際に自分のギターに取り付けて使えるようにするには手間と費用がかなりかかりそうだ。
バックはコンピュータ回路とメカを納めるために穴だらけにされる。
本体の重さは227gくらいと軽いが、削られた木部の量もかなり多いので元のギター重量で仕上がりそうだ。
費用はギターの種類により3,400〜3,900ドルもかかる。
プロはコンサートなどでチューニングの狂ったギターを使い続けるわけにはいかない場合があり、何本も予備のギターを準備したり、専用のスタッフをスタンバイさせている。
ジミー・ページのようなミュージシャンは音を変化させること自体を演奏の演出として使ってみたいのだろう。でも古い貴重なギターを使わずに、新しいギターでやってほしいものだが、この装置の行く末を見守りたい。
ををっ!これは凄い(値段も)、と激しく反応(笑)。
一番右のQTmovieは、チューニングを変えているだけなのに、聞き入ってしまいました。
しかし実際に、音の狂いの補正はともかく、これほど多くの種類のチューニングを駆使する演奏家というのは、いるものでしょうか。(確かに、ブルース系でスライドを弾く場合なんかは、バッキングはレギュラー、ソロはオープンでできるからとても便利だと思いますが)
実際にこのシステムが欲しくて仕方ないのは、ニューエイジ系のアコースティック・ギタリストなのではないでしょうか
(ウィリアム・アッカーマンなんて、曲ごとに違う独特のオープンチューニングなので、一曲ごとにギター取り替えてました)。
でも、これをアコギに付けるわけにいきませんし......。
欲しいですが、この価格の高さはとても手がでません。需要と供給でせめて1/10くらいにしてくれないと。
どこかのギターメーカーと提携して量産モデル作りませんかね。
ギター込みで10万円台なら買いたいなと思いますが。
投稿情報: 六尺 | 2006-10-01 14:50
六尺さん、こんにちは。
そうです。あのムービーです。
これまで頭の中で夢に見ていたようなことが現実に叶った一瞬でした。
トップから入るとソリッドタイプのアコギには付けることができていますね。
http://transperformance.com/
フルアコでは生音が死んでしまうでしょうね。これだけ詰め込まれると。
おっしゃるように小型化、量産化で安くなれば手にしてみたいですが、演奏に活かすことができる自信はないかも。
投稿情報: 栗田 | 2006-10-01 15:28