空間の記憶

慣れ親しんだ道や空、木々や建物を記憶にとどめようとこれまで写真を撮ってきた。
1年前の11月20日にエントリーした「空域」の空の写真。

同じ日に撮影した仕事場周辺の写真があることを思い出し、iPhotoをスクロールしてみる。

横田基地と西砂の農家が守ってきた広大な畑のおかげで、遮るモノがなにもない空間が広がる。畑の中の一本道、色づくポプラ、誰も収穫しようとはしないカリンの実の写真と共に、駐車場や中庭、仕事場へ通じる階段や玄関の写真があった。

引っ越しは、家や部屋という空間に詰まっていたモノをすべて運び出し、空っぽの状態に戻す作業でもある。うっかりすると、もうこれで終わりかと思っていた部屋のトップライトを忘れていたり、トイレに付いている棚が元からあったモノなのか迷ってしまったりする。

本当にすべてのモノを運び出し、ブラインドを外した窓の向こうに今年もまた誰も拾おうとしないカリンの実があった。

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