占領軍住宅の記録 (上・下)
デペンデントハウスが残した建築・家具・什器
小泉和子・高薮昭・内田青蔵 共著
住まいの図書館出版局 住まい学大系 096 / 097
上:216ページ 下:264ページ
ISBN4-7952-2140-5 ISBN4-7952-2141-3
「占領軍住宅の記録」の本をこのブログで紹介してから4年も経ってしまった。今回、FLAT HOUSE LIFEの本のエントリーがきっかけとなり、秋山さんから「デペンデントハウス 1」の続きは…と指摘されてしまった。
この上下2巻に分冊された上巻の方を紹介したつもりだったが、下巻はまだだったのだ。
下巻は上巻の建築と異なり、主に家具、什器の解説である。
家具は、長椅子にはじまり、カード遊び用の折り畳み椅子まで29種類あるが、すべて終戦直後の日本でデザイン、製作したというから驚く。その20番目にある衣装箪笥(本文128ページに掲載)について、今回の佐渡への引越でひとつエピソードがあった。
もう古くて、くたびれているパインのチェスト。
それでも、ハウス生活の思い出がいっぱい詰まっているので持ってきたのだが、三杯の大抽斗のひとつの底が抜けた。このチェストは間口1メートル、奥行50センチ、高さ86センチほどで、上に二杯の小抽斗がついており、ハウス同様にシンプルでたいへん使いやすい。
前後して、友人のブログ「non tanto」でも、昔、私が譲ったとされる「パインのチェスト」の底が抜け、修理しているエントリーがUPされた。偶然だが、同じように経年劣化していたということだろう。
あらためて、下巻の「家具の製作」のページを読むと、このアンティークも大事にしていかなくてはと感じる。大げさに言えば、これらDHの家具から日本人の戦後の新生活様式は多大な影響を受け、家具業界は立ち直りのきっかけを得ることができたのだから。
最近、この本への評価はネットで見る限り増えているように感じる。また、デペンデントハウスの価値を再評価し、自主的に管理継続している入間の試みを日本都市計画家協会が紹介していた。以下に関連のリンクをUPしておく。
・Johnson Town PhAI (入間デペンデントハウス管理/磯野商会)
■下巻目次
第三章 DH家具の設計と生産
一、家具の設計
二、家具の製作
三、製造と検査
四、受注業者の状況
第四章 什器と電気機器
一、什器
二、電気機器
第五章 インテリアと家具・什器
一、家具配置
二、家内の使い方の特徴
三、DH家具のデザインの系譜
第六章 DHの与えた影響
一、DHのわが国の住宅に与えた影響
二、DH家具が日本家具界に与えた影響
三、アメリカナイズ
■上巻目次
第一章 デペンデント・ハウスの建設要請と経過
一、連合国軍による日本占領とGHQの指令
二、DHに関するGQの指令
第二章 DHと諸施設の建築
一、住宅接収
二、DHの設計方針と計画
三、諸施設の設計方針と計画
四、アパートメント形式によるDH計画
五、DHの追加建築計画
入間市のJohnson Townにはつい最近行きました、隣の長谷工マンションを友人の付き合いで見学に行った時ですが、
入間市には現在公園になっている場所には贅沢なハウスがあり、国道16号線から少し入ったところにもかなりの数の住宅が有った事は知っていましたが、こんなところにも米軍ハウスがあったのかと思っていました。
最近建てられた物とは思いませんでした、気合を入れてリペアーしてあるのかなと思っていました、その時は住まいではない仕事場風、食べ物やさん風に使われている物が多い様に感じましたが、以前から存在していた物でない事が今日分かりました。
投稿情報: suga | 2009-12-03 18:41
そうですね、新旧のハウスがあるようですが、遠目には古いアメリカンハウスに見えてしまうでしょうね。
福生や羽村にも個人の大家さんで、徹底的にリフォームして相変わらずアメリカの兵隊用に貸しているハウスがあります。でも残念ながら、60年前にデペンデントハウスで実践されていたエリア毎のゾーニングは崩れてしまいました。
「国土が狭い」「土地が高い」など、そのような理由の前に、理想は貫かれないようです。
狭い国土の日本は、世界に向けて多くの車を生産していながら、自国の車社会のインフラ(ガレージや住居周り)は、相変わらず貧しいままのように思います。
投稿情報: KURITA | 2009-12-04 09:40