図説 竹工芸
著者:佐藤庄五郎
出版社:共立出版
ISBN-13: 978-4320092075
発行:1974年12月
価格: 11,025円
竹工芸の解説書としてバイブル的な存在である本書、初版から36年を経過しているが、現在でも、この本を超えるタイトルは存在しないのだろうか。
そんな名書を図書館から借りることができた。
Amazonなどの内容紹介では、竹工芸全般にわたって体系的に記述された内容とある。私が知りたかった部材の加工については「第4章 材料(部材)への加工(基本工作法)」で十分に理解することはできた。だが、古典的な道具を使用した加工方法と、量産化/合理化を目的とした機械化による加工方法が混在されているのには、少し困惑。それは36年前の「最新の道具」であり、竹工芸の生産基地がアジアに場所を移してしまっている現在の日本では、いったいどのような最新の道具が竹を加工しているのだろうと、ふと考えてしまった。
全15章、339ページに及ぶ本書のコンテンツで大半を占めるのは「竹工芸=編む」技術の解説である。現在、私が興味を持っている盤鷹(中国の鳥凧)の製作では「編む技術」をまったく必要とはしない。材料竹となる竹ひごの加工方法だけ、入門書としてまとめた本があれば充分なのだが・・・。
第1章 竹の利用とその種類
第2章 竹材
第3章 竹材の調達
第4章 材料(部材)への加工(基本工作法)
第5章 製品への構成
第6章 着色と仕上げ
第7章 ざる目編みの竹工
第8章 四つ目編みの竹工
第9章 いかだ編みの竹工
第10章 菊底編みの竹工
第11章 あじろ(網代)編みの竹工
第12章 六つ目編みの竹工
第13章 輪口編みの竹工
第14章 クモの巣およびその他の編み方の竹工
第15章 その他の竹工
同じ著者である佐藤庄五郎氏の著書で「図説 竹工入門」の本もあったので借りてみた。専門的な「図説 竹工芸」とは異なり、入門者にわかりやすい解説書であることを期待していたのだが・・・。「図説 竹工芸」の出版から20年を経て制作された本書、まえがきにも入門書執筆で検討された制作意図が書かれていたのだが、副題に「竹製品の見方から製作へ」とあるように、個々の作品(竹製品)の見方や作り方の知識に絞って解説が進む。しかし、どのような作品であっても、事前に共通した竹拵え(竹こしらえ:部材づくり)として必要な行程があるわけだが、その解説が作品の章だての中に入ってしまい、理解しやすい構成とは思えなかった。入門書としては満足できる価格なのだが、残念である。だが、初版以来、版を重ねているタイトルなので「編む」竹細工の入門者には頼りになるタイトルなのかもしれない。 図説 竹工入門
出版社:共立出版
ISBN4-320-09256-2
発行:1993年9月
価格: 3,150円
第1章 竹製品の見方と竹工
第2章 竹材の竹工
第3章 盤状の竹工
第4章 盆状の竹工
第5章 かご類の竹工
より現代的な編集内容で、個人的に参考になったのは、同じように「やさしく編む」という副題のついた「竹細工入門」の本。
「図説 竹工芸」や「図説 竹工入門」が、図とテキストによる論理的な解説をメインにしているのに対して、この本はムック本的な写真による行程の説明が多く、具体的に手を動かして入門を果たす入門者にはわかりやすい内容になっている。私が知りたい「竹ひご作り」についても、手順が写真で確認できるので参考になった。 竹細工入門
著者:稲垣尚友
出版社:日貿出版
発行:1993年9月
ISBN-13: 978-4817081315
価格: 3,675円
さて、おかげで知識は十分に仕入れたものの、竹ひご作りは手が覚える仕事。
まずは手を動かすことにから・・・はじめなくては。
加工用の道具に興味がありますね~
それにしても、やりたい事だらけで楽しそうです 羽ばたき機の開発も楽しみにしています。
早くキット化して下さいね。
投稿情報: suga | 2010-04-01 08:05
Sugaさん、毎度!!
加工用の道具ですが、調べると新旧いろいろ揃っていますね。
まあ、道具道楽にならぬよう、しばらくは手持ちの道具でつくってみるつもりです。
古典的な道具
・竹芸刃物
http://www.d3.dion.ne.jp/~kawase8y/page1.html
・河合のこぎり店竹用道具
http://homepage2.nifty.com/s-kawai/take-dogu_hanbai.html
オリジナルにデザインされた機能別の道具です。
でもつくりをみると、アルミのアングルを多用してあり、自分でも工夫できそう。
・竹かご編みと便利な道具
http://www.h6.dion.ne.jp/~toyotate/index.html
投稿情報: KURITA | 2010-04-01 14:08