既存のラジカルなテクノロジーを寄せ集め、その合わせ技で4,800km、電気自動車 Wind Explorer によるオーストラリア横断の冒険を成功させた二人のドイツ人技術者のニュースを知ったのは、2月はじめのことだった。
夕暮れが近づくと車を路肩に停めて、小さな電気自動車の後部から2つに分解した竹製マストを取り出し、風向きを確認してから地面に立てる。2.7メートルの風車は一晩中回り続け、翌日の走行に必要な電力を8KW/hのリチュームイオンバッテリーに充電してくれる。日中、ちょうどいい風が吹いている時は、バッテリーの消費を節約するために1人がカイトを上げて、まるでヨットみたいに陸路上を走るのだ。
こんな日々を24日続けて、彼らはバースからシドニーまでを走りきった。
新しく開発したり発明した機材は何もない。既存の技術とそれをうまく使うノウハウ、それに事前の操縦訓練を周到にやったことで、節約が大前提の冒険を成功させることができたのだ。
3.11の震災・原発事故が起きてから3週間経ち、気持ちが冷静になるほどに、彼らの偉業が心に訴えかけてくる。
※車体に貼られたピンクのロゴ:スポンサーのエボニック インダストリーズAGは化学、エネルギー、不動産の事業展開を世界100ヶ国以上で行っているクリエイティブなグループ企業で、本社はドイツのエッセン。
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