DOMA秋岡芳夫展
場所:目黒区美術館
会期:12月25日まで
時間:10〜18時
日本の工業デザイナーの先駆けとして活躍した秋岡芳夫氏の展覧会が、東京目黒区美術館で開催されている。私はまだ見ていないが、建築家や工業デザイナーである友人たちのサイトに掲載された報告を読み、開催準備に3年かけた集大成の展覧会であることがわかった。
中でも会場入り口に設けられた「竹とんぼ」の展示、秋岡氏が60歳から始めた製作活動と国際竹とんぼ協会の発足など、その活動を知らない方が多く、驚かれたようだ。1986年に出版された本「竹とんぼからの発想:手が考えて作る」には、5年間で800機を越える竹とんぼを製作したと書かれていた。しかし、その後もその数は増え続け、今回の展覧会用にまとめられた図録では3,000機を確認できた書かれていたとか。共に協会で竹とんぼを作った仲間の証言では、6,000機まで確認したそうだ。目標が10,000機だったというから、呆れてしまう。
シンプルな竹とんぼにあらゆる可能性を感じ、多様なデザインを展開した秋岡氏も、子供の頃は飛行機少年だった。
秋岡氏が執筆した工業デザイン関連の本は、佐渡の図書館にも多数あるが、佐渡に縁のある竹とんぼの本がないのは寂しい。楽しい本なのでぜひ蔵書として誰もが読めるようにしてものだ。
現在、初版のブルーバックス版は絶版となっているため、雄志のリクエストにより10月末に復刊/再版となった復刊ドットコム版が入手可能。
■竹とんぼからの発想
判型: 四六版(188 ×130mm ブルーバックス版よりも一周り大きい)
頁数: 260 頁
価格:2,730円
・amazon
・復刊ドットコム
秋岡氏に竹とんぼのノウハウを伝授した増山清士さんの後を継いで、息子の増山啓介が現在、国際竹とんぼ協会佐渡支部を担当されている。私の不勉強か、あまり活動されている情報を入手することができないが、お話しを聞くチャンスあればと思う。
1982年:工業デザイナー秋岡芳夫(1920〜1997)を中心に竹とんぼ愛好家たちと「国際竹とんぼ協会」を結成
1983年:第1回全国竹とんぼ競技大会を佐渡小木町体育館で開催(5/15)
1984年:第2回全国竹とんぼ競技大会を佐渡小木町体育館で開催(5/20)
1988年:第6回全国竹とんぼ競技大会を佐渡小木町体育館で開催(5/14)
秋岡氏は戦後、工芸指導所が主体となり進められたDH計画(デペンデントハウス:進駐軍住宅)に民間人デザイナーとして参加し、30点の家具デザインを設計した。当時の様子がわかる記述は、以前、このブログで紹介した「占領軍住宅の記録(下)」の「第三章 DH家具の設計と生産」の始まり部分に登場する。この工芸指導所が戦前に設立された際「見る工藝から使う工藝へ」の指導理念に基づき、日本へ招聘されたのがドイツ工作連盟のブルーノ・タウトだった。1933年(昭和8年)に来日したタウトは、その後、飛騨から秋田へ向かう途中に佐渡を訪れた。
工芸指導所、ブルーノ・タウト、佐渡、秋岡芳夫、竹とんぼのキーワードが、3冊の本で結びついたことに不思議な縁を感じずにはいられない。
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