キットに付属するマニュアルでは解説されていない工作のしかたなど、製作の概要をまとめましたので掲載します。
これからclik!を入手して製作されるみなさん、参考にしてください。
すでに製作されたみなさん、もっと有効な別の工作方法がありましたら、写真と説明文を直メールでお送り下さい。追加掲載させていただきます。
■初めに準備すること
マニュアルにも書かれていますが、キットを作るのに準備するものは一般的な工作道具で十分です。注意することは以下の3点です。
・ カーボンロッドの切り口を削るためのサンドペーパー
・ デプロンのカットは、たえず鋭利なカッターでカットできるよう、頻繁に刃先を新しくすること
・ デプロンの接着には発泡スチロール系の接着剤を用意すること(エントリーでも紹介しています)
■ キットの各パーツを確認する
メジャーの製品キットとは違い、ガレージメーカーのキットには不足パーツやミスパーツが多いそうです。
作る前に全パーツが揃っているか、写真のように確認しておきましょう。
1.私の場合は、翼端板の前縁に張り出すパーツが左右揃っていませんでした。左の写真のように同じ形状のパーツですが、カラーリングされているので左右パーツが揃っていなくてはならないのです。左側のパーツが2つ入っていたので、しかたなく右の写真のように黒いマーカーで手書きして使いました。
2.エントリー「clik!特集」記載してあるエポキシ基板でできたパーツのうち、Bのパーツが脚の胴体側補強用にもう2つ必要かと思うのですが、入っていません。私はあまったエポキシ基板の端材を使って作りました。
3.デプロンパーツについている製造過程で使ったタブ部分をきれいにカットして整えておきましょう。
■機体の製作
Diagram 1
主翼パーツは左右に分割されています。
この主翼部分にはエルロンの動翼が一体になっているので、印刷されている破線にそってエルロン部分をカットします。
clik!のエルロンはカウンターバランスが付いているので、間違って直線でカットしないように注意しましょう。
翼端板が入るところもカットしておきます。 英語の解説と番号順に並んだ図版の両方を見て工作してください。
Diagram 2
主翼の前縁に3mm幅のカーボンスパーを貼り付けます。
胴体側にはみ出した状態になりますが、カットしてはだめです。この部分は後で胴体に切り込みを入れて、はめ込み接着します。
Diagram 3
マニュアルでは3〜5の解説が一緒ですが、分けて説明します。
ここでは各動翼のエッジ部分を事前にカットしておきます。
よく切れるカッターで図の説明にあるように60度くらいの角度でカットします。主翼/エルロン、エレベータ/動翼は、必ず上面が上になるようにしてカットしてください。ラダーは左側を上にしてカットするといいでしょう。
Diagram 4
各動翼がうまく動くように主翼や胴体とのクリアランスを調整しておきましょう。
ヒンジテープの貼り方は、上面は平らなので可動部分すべてに貼ります(図説参照)。
裏側のカットした面は、3の図にあるように折り曲げた状態にしてヒンジテープを貼ります。主翼の片側3カ所、エレベータは4カ所、ラダーは3 カ所。
Diagram 5
左右の主翼を胴体に接着します。事前にカーボンスパーが入る位置合わせをして、カッターで切れ目を入れておきます。
Diagram 6
胴体の下半分を接着します。接着する前に6の図にあるように40mmカーボンスパーを先頭から150mmのところに、頭が2mmほど出るようにして埋め込んで接着しておきます。
平らな場所に主翼胴体を裏返しにして置き、直角ブロックなどで保持しながら胴体の下半分を接着してください。
接着が乾いたら、主翼保持用のカーボンロッドを留めるエポキシパーツを先ほどのカーボンスパーに接着します。穴の角度が大きい方を後方に向くようにしましょう。
Diagram 7
250mmのカーボンロッド4本を主翼保持用に接着します。
主翼側はBのパーツを使い、カーボンロッドの片側はサンドペーパーで先をとがらせておき、突き刺すようにして接着します。
胴体側は、先ほど接着したエポキシパーツの4つの穴を通して瞬間接着剤で留めます。この時、主翼が水平になるよう、平らな場所で作業しましょう。
Diagram 8
脚を作ります。
脚用の1.5mmカーボンロッド2本と、IとCのエポキシパーツ、短くカットされたカーボンロッド2本を準備します。
Iのエポキシパーツを図のように長いカーボンロッドの一方に貼り付けます。もう一方はサンドペーパーでとがらせておきます。
Iのエポキシパーツの接着が乾いたら、開いている穴を1.5mmのドリルで斜め穴に加工します。
Diagram 9
短い軸になるカーボンロッドをIのエポキシパーツに接着します。
車輪の軸穴のサイズが小さいので、カーボンロッドがスムーズに入るよう大きく開けておきましょう。車輪が手で軽く回せるのを確認できたら、T字型のCのエ
ポキシパーツをカーボンロッドの端に接着します。エポキシパーツにすでに開けてある穴が大きすぎるので、事前に瞬間接着剤で埋めて小さくしておきましょ
う。
Diagram 10
脚を胴体下に取り付けます。
8で完成した脚のカーボンロッド部分を胴体の左右から差し込みます。エポキシパーツFをすべらすようにカーボンロッドの根本まで入れて胴体を挟むように左
右から貼り付けます。このとき、カーボンロッドには接着剤を付けないようにエポキシパーツFだけを胴体に接着しましょう。
車輪が少し前に出るような角度で、主翼のカーボンスパーが入り込んでいる前あたりにカーボンロッドの先を差し込んで接着します。カーボンロッドを保持するエポキシパーツはあまったエポキシ基板の端材を使って写真のように作りましょう。
取り付ける位置は写真を見て参考にしてください。
車輪の軸が地面と水平になるよう調整して接着しましょう。
デプロンパーツを最後に接着しておきましょう。
Diagram 11
エレベータ動翼の中央に、11の図のように 9mmのカーボンスパーを切り込みを入れてから差し込むようにして接着します。
これができたら、胴体の上部を接着します。接着前に、エレベータ動翼と胴体の上部/下部に開けてある可動スペースないでうまく上下できるか試してから胴体
上部を接着しましょう。ぶつかる場合は、カッターなどでカットして調整します。胴体の上部は垂直になるようブロックなどで保持して乾くのを待ちます。
Diagram 12
12の図はサーボの取り付け位置などを示したモノです。
自分が使用するモータ、バッテリー、サーボを決め、その重量に合わせて重心位置が胴体の先端から主翼方向に200mmの位置にくるように調整します。
エルロンはカーボンロッドを使ったリンケージで、エレベータ/ラダーはワイヤーリンケージなので両引きになります。
Diagram 13
胴体上部の接着が完全に乾いたら、補強のパーツを左右の側面に45度傾けて接着します。接着剤では貼りにくい場所なので、両面テープを4mm幅くらいで上
下にはり、胴体に貼りつけるとやりやすいです。このとき、上部だけさきに両面の上紙を剥がして貼り、下面は後から上紙を剥がして貼ると水平垂直を左右で調
整しながら貼ることができます。
Diagram 14
モータマウントを取り付けるためのエポキシ基板パーツHです。
自分が使用するモータのマウント方法によって加工を施してきましょう。
私の場合は、E-flite PARK250の専用マウントを使わずに、カーボンパイプをテールに接着し、それを差し込めるように8mm径のカーボンパイプをHのパーツの中心に接着してあります。このような作業がある場合は、⑬の加工前にやっておく必要があります。
上下に開けた穴は、裏側にナットを接着してあり、ポテンスキーの30W-BLモータのマウントを取り付けて使います。
Diagram 15
14で接着した側板が乾いたら、手で機体を持ってみてください。かなり剛性が増したことがわかります。でも胴体後部の垂直尾翼などの剛性はありません。
そこ
で4本のカーボンロッドを使い、上下左右に補強を入れます。このカーボンロッドは両端共サンドペーパーでとがらせておいてください。
どの部分に補強のロッドを入れたらよいのか、経験のある方は知っているかもしれませんが、clik!の開発者は15の図のように入れています。これはすでに剛性が出ている場所として選んだのだと思います。左の写真は、他のclik!ユーザがトライした取り付け方です。胴体上部にはロッドを使わず、胴体下部のエレベータ付近に2本施しています。
Diagram 16
リンケージ作業です。
私の場合はモータが軽いこともあり、メカの積み込み位置をかなり前に持ってこないとバランスできませんでした。
実際に製作してみてわかったのですが、clik!の開発機もテールヘビーな状態に苦慮していたことがわかりました。
ゲタを履かせたようなBLモータのマウントは、クラッシュ時のクッション効果ではなく、単純に重心位置が合わせられなくてモータを前に出さざるを得なかったということのようです。
自分で組んでみても、同じようにテールヘビーな状態だったので、キットでも解消されていないようです。初めてなのでキットに手を加えずに組んでみたのです
が、自作の600mm
clik!などで試みてきた機体後部の肉抜きは、キットでも事前にカットしておくと有効かもしれません。肉抜きだけで2gは軽くなり、テールバランスもよ
くなります。clik!の開発機ではサーボなども軽量化のために取り付け用タブをカットしてありました。
キットには、エルロン用のカーボンロッドは付属していません。
私は今回、以前から試してみたかったWES-Technikの1mmカーボンチューブを使いました。185mmサイズでカットした重さは0.14g。両端に使用したWES-Technikの1mm径プッシュロッド用フォークヘッドは1つ0.09gです。
そのため、付属してきたエポキシ基板パーツのDとカーボンロッドを固定する金属パーツは使用しませんでした。
軽量化に異常なくらい神経を使っているという印象をみなさんは受けることでしょう。でも、これくらいやらないと小型機の総重量はすぐに5〜10g重くなってしまうのです。
エレベータとラダーはワイヤーリンケージなので、付属するプラネジを使えるように図18にあるような加工を取り付けるサーボのホーンにしておきます。
動翼側のホーンはオフセットされた穴がすでに開いており、2つある穴の外側を使うようにしましょう。
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