ピーナッツスケールに近い大きさで製作された2機の小型スローアクロ機が、みごとなフライトを達成しました。同時に、同じ大きさのスケールアクロ機も軽量化に成功し、スローアクロ機とは飛びが違うフライトであることを教えてもらった飛行会でした。
参加者:鈴木、大野、鳥羽、としちゃん、栗田
見学者:本井
■としちゃん
超小型ラジコン飛行機研究所のとしちゃんが「道場破り」にきてくれました。
以前から気になっていた小型スローアクロ機「 Toratanu-Ss」ですが、最初は3chで始まり、今回、エルロンにBlue Arrow 2.5gサーボ、エレベータ/ラダーにFalconサーボを搭載し、Gasparin社製 GP15 Wasp(5W)の超小型BLモータの組み合わせで4チャンネル機に改造してきました。全備重量は29.4g、スパン36cmです。
滑空テストでベストポジションであろうと、としちゃんが考えた位置に翼端板が取り付けられています。この翼端板が大問題であることは後々わかるのですが、飛行会の4時間の内でToratanu-Ssの調整と問題の洗い出し/改造をすべてクリアさせ、飛行会終了10分前に、みごとなフライトを成功させたのです。
※としちゃんのブログでは「抵抗版(板)」「安定版(板)」と書いてありますが、ここでは翼端板と呼ぶことにします。
最初のフライトのムービーでは、操縦者の鈴木さんが送信機で盛んにトリム調整をしているビープ音が聞こえます。不安定にローリングする挙動の原因はすぐには特定できませんが、トリム調整では修正できないリンケージのガタつきがあるのを修正することから始まりました。
F西多摩体育館のパイロットポジション
Toratanu-Ss-01.mov
鈴木さん操縦のトリム調整
Toratanu-Ss-02.mov
動翼の取付はトップだけテープで加工してあったのですが、最初のフライトですでにそのテープが剥がれかけていました。裏側の45度にカットされた動翼前縁部分にもヒンジテープを貼るようにしました。
次のフライトでリンケージのガタつきはなくなったのですが、ローリングの挙動は消えていません。
そこで次に問題視したのは翼端板の大きさです。重心位置よりも後ろまで伸びた翼端板を短くカットしました。しかし、まだ問題は解決しません。
こうなると最後に試してみれることは翼端板の取り付け位置の変更です。
clik!やSX-AMなどの経験から、Toratanu-Ssの翼端板は中央寄り過ぎると感じていました。
写真(としちゃんのブログより転載)のように角度を増やして翼端に取り付け直してあります。
この改造が大成功でした。次のムービーを見るとローリングする挙動が消え、安定してアクロパターンを飛行できるようになったことがわかります。
この他にも「トラタヌ NYAO」のムービーがあります。トラタヌ NYAOの詳しい報告はとしちゃんのブログをご覧下さい。
今回のToratanu-Ss機の成功は、インドアの小型スローフライ機を飛ばしてきたものとしても、スローアクロ機を飛ばしている立場からも、賞賛できるコラボレーションでした。それをしっかり理解できているとしちゃんの「道場破り」は、大きな意味があったのです。
鈴木さんのAcro330機でもわかるように、小型のスローアクロ機を製作する技術、スローアクロ機を操縦できる技術の両方が揃わないと成立しない飛行機だからです。どちらかというと「製作する技術」の方が勝る傾向にあるインドア・スローフライ機のメンバーが多いのですが、操縦する技術を身につけることで、さらに可能性のある、興味深いジャンルが広がっていくのです。
飛行会後の駐車場井戸端懇談で「みんなががんばってきたことで、やっとここまでできるようになったね!」と今日の成功を喜びました。継続は力かな!
■鈴木さん
ひとつの結論が出たAcro330。
見学参加した本井さんも言っていたのですが、「張り線」で軽量な素材をバランスさせるノウハウは鈴木さん独特のオリジナリティーです。その技術があって成立している60倍発泡のEPPを使ったAcro330ですが、この飛行機でも翼端板の効果が絶大であることが実証されました。燃費も悪く、パワーロスが大きくなるのですが、ゆっくりと安定した飛行が可能になりました。次は剛性のある2mmデプロンやスチレンペーパーで同じチャレンジをしてほしいです。
翼端板を付けたフライト
Suzuki Acro330-02.mov
■鳥羽さん
スローアクロの練習というよりもインドア・エルロン機の練習用にEPPで複葉機を製作してきた鳥羽さん。さすがに工作精度の高い機体に仕上がっていました。
鳥羽さんは「電動スケール機」が好きなのです。そのことをあらためて再確認した飛行会でした。それは軽量化され、飛ばしやすくなったスホーイをみんなが飛ばしてみてわかったことなのです。
スケールアクロ機として製作されたスホーイをしっかり飛行するには、実機と同じようにエルロンとラダーを併用してバンクさせてから旋回させなければなりません。スローアクロ機の操縦がニュートラルになってしまった栗田や大野さんは旋回がうまくできません。スケール機の操縦をよく理解している鳥羽さんと鈴木さんは繊細なコントロールでスケールライクな飛行をします。
このような操縦の違いをはっきり実感できたのは今回が初めてでした。何度か経験しているはずなのですが、まったく理解できていなかったことがわかったのです。
■栗田
ラダーを追加したmini2 IFOは重心位置など調整の必要もなく、軽快に飛んでくれました。IFOのヒラヒラしたフライトではなくなり、3D系のFunFly機です。デザインはともかく、縦面積を増した胴体の効果は大きいようで、ラダーの効きも2.5gサーボにしてはよく動きます。グリグリ遊べる機体になりました。
■大野さん
ピッツの調整にてこずっていた大野さん。
複葉機はまた別のノウハウが必要なことがだんだんわかってきました。ピッツも個性的なアクロ機です。実機のことなをしっかり理解してアレンジしないと、鳥羽さんのスホーイと同じスケールアクロ機なのか、スローアクロ機なのか判断が分かれるところです。造形力のあるお二人は、いよいよスケールアクロのジャンルに突入していくようですね!!
とてもいい経験になりました。とにかく飛ばし続けないことには、次なる一手も見つからない世界。今回鈴木さんの操縦協力で私が一人でやるより遙かに開発時間が短縮できました。 コラボは大きな力ですね。
それにしてもやはり百聞は一見にしかずYSFCメンバーの機体を直に見たり触ったり直にあの体育館のなかでの飛行を見る事が出来たのが良かった。見てヨシ飛ばしてよし飾ってよしのインドアでの小型スケールアクロ機は本当に素晴らしいです。
投稿情報: としちゃん | 2007/07/23 14:57
飛行会の時間内で解決できてよかったです。
こんなことってなかなか起きません。メンバーの関心が集中してましたね!!
小型スケールアクロ機の製作は造形力が必要なので、精進しなくては・・・。
投稿情報: 栗田 | 2007/07/23 17:57
業務連絡toおおのさん
テープ見つけた。明日あたり入荷予定。
テストして同じものと確信できたらShopに載せます。
投稿情報: moto | 2007/07/23 22:30
motoさん>有り難うございます。これで少しはリーズナブルな値段で入手出来るように・・・なるかな?w
Pittsは気まぐれで作ってみただけということで・・w
手頃な大きさの機体で、飛ばして面白ければもう少し模型飛行機と認められるディティールを、と思っています。
投稿情報: おおの | 2007/07/24 22:54