火星の地表を探査したローバーとは異なり、火星の表面の高度1,500メートル上空から、サザンハイランドの最大610kmにわたるさまざま地形を調査飛行する計画のARES Airplane。
その飛行は2016年に計画されているけど、地球の大気密度の約1/100しかない火星の大気環境で飛行するには、地球上で使われている飛行機の翼型とは違った新設計の翼型が必要とのこと。
また、打ち上げロケットの輸送能力の制限内に納める工夫が必要なわけで、カプセル内に翼をたたんだ状態で運び、降下しながら翼を広げる実験も、地球上ではすでに成功しているようです。
Mars Airplaneとしての始まりは、2004年にAurora Flight Sciences社が開発したHADD-2のナビゲーション・センサーを使用したフライトコントロール・システムをベースに、現在のARES Airplaneへ発展してきました。
「惑星飛行機用低レイノルズ数翼型の空力最適化に関する研究」という長い名前の研究レポートによると、
他の惑星で飛行するということは、大気密度だけでなく、スピードの概念も地球とは異なるそうです。
火星大気での音速は、地球大気での音速の約2/3、薄い大気の中で揚力を十分得るには高速で飛行する必要があり、必然的にマッハ数も高くしないと・・・。
Mars Airplaneの飛行条件は「低レイノルズ数」、「高マッハ数」というこれまでに人類が経験していない条件をクリアしないと成功できないのです。
NASAが公開しているARES Airplaneの紙飛行機をダウンロードして、「この紙飛行機をそのまま地球で飛ばしたらどうなるのかしら・・・」などと考えてしまいます。
研究用に2機開発されているARES Airplaneには1/2スケール機もあるのですが、こちらの紙飛行機は日本の「佐賀ペーパーグライダー・パイロットクラブ」のHPからダウンロードすることができます。
地球上での空力理論もおぼつかない私には、火星における飛行条件の具体的なデザインがどのようになっているのか、皆目わかりません。でもこのARES Airplaneをグライダーにして飛ばしてみたくなるのです。
まじめな話、ARES Airplaneの科学上の目的は3つ。
・火星外皮の磁気調査
・大気境界層構成の調査
・地上水と鉱物の調査
あなたが少し興味を持ったとしたら、NASA提供のARES Airplane専用シミュレータもMac/Win用共に、ぬかりなく揃っています。無料だけどデータが大きいのでダウンロードはトラフィックが空いているときにやりましょう!!
さっそくpaper craftを作ってみました。
重い厚紙で作ったので飛びそうもないですが、軽量素材で再チャレンジしてみたい機体です。
http://slowfly.exblog.jp/13738253/
投稿情報: moto | 2010/12/01 22:00
早っ!!
いいつまみになりましたか?
しかし、気がついたらエントリーUPからもう2時間経ってました。
motoさん、こんどは飛ぶやつを期待してます!!
投稿情報: 栗田 | 2010/12/01 22:13
もう一度ゆっくりリンク記事を見ていたら、このプレゼン動画がありました。
http://www.ted.com/talks/joel_levine.html
動画画面のポーズボタンの下の"13LANGUAGE"ボタンを押して"JAPANESE"を選べば、日本語字幕の説明が出ます。投下後にロケットエンジンを噴かすシーンも後半にありますよ。
投稿情報: moto | 2010/12/02 07:05
TEDの講演ですね!!
惑星科学者のジョエル・レヴィーンのムービーは途中までは見ていたのですが、一連の投下シーンにジェット噴射があったとは、見逃してました。
投稿情報: 栗田 | 2010/12/02 10:02
火星大気圏での飛行、ワクワクしますね。
一見(大気が希薄云々の割りに)普通の飛行機に見えますが、ロケット推進の割には、キャンバがきついのがミソでしょうか?。
超小型軽量の模型にスケールダウンするには、都合が良さそうです。飛行の様子はスケールどおりにはならないでしょうが・・・。
投稿情報: Ichi | 2010/12/03 08:15
ichiさん、ごぶさたしてます!!
ARESの尾翼は、ichiさんが現在テストされている鳥型逆Vテイル機と同じですね。
http://smc93.7days.tv/blog/
そのノウハウでARESもぜひ飛ばしてください。
投稿情報: 栗田 | 2010/12/03 10:10