グライダー人口の少ない日本で、無尾翼や全翼のグライダーを飛ばす人はさらに少ないわけで、ましてやヨー方向の動翼(ラダー)や垂直尾翼などを付けず、鳥に似たデザインで機体を製作し、安定したソアリングを目指す人はさらに希な存在と言うことになります。
場所の問題もあるので、グライダーではなく鳥型飛行機に挑戦する人の方が多いかもしれません。
インドア仲間でも、としちゃんをはじめ数名のメンバーが小型の鳥型機の製作を継続しています。
「鳥のように」という見方を現行機かえてみると・・・、あのB-2スピリット(ステルス)にも垂直尾翼はなく、その空力ロジックは共通?するものがあるのかもしれません。
■いなか工房
国内で、2002年から鳥型グライダーの開発を続けている「いなか工房」。
オリジナルの操縦翼面をコントロールできるデザインを開発して、新しく命名した「スプリットエルロン」や「キャンバーエルロン」というしくみを組み込んだ鳥型グライダーが飛んでいます。
□スプリットエルロン
スプリットエルロンは、ステルスなどではスプリット・ドラッグラダー(ドラッグラダー)と呼ばれ、垂直尾翼がない全翼機に用いられる操縦のしくみです。
片翼のエレボンとスポイラーを上下することで、左右両翼の抗力バランスを変え、ラダーと同じような役割をします。
いなか工房の説明では、以下のようなコントロールにらるようです。
左旋回するときは、左外側エルロンを上げ、左内側エルロンを下げます。同時に尾翼を右に傾けると左旋回に入りやすいようです。左旋回が始まったら、尾翼は水平にするか、左に傾けると安定した旋回ができます。
上下の動きは、尾翼を下げたり、上げたりと普通の飛行機のエレベーターと同じ考え方です。左右の内側エルロンの上下で、上下のコントロールをすることは可能ですが、低速になってからのグライドの伸びが良くないようです。
低速でのサーマルソアリングでは効果的ですが、高速で急激な操舵が難しく、ロール運動ができません。
スプリットエルロンを使ったトンビ型グライダーの集大成 トンビ8号、この機体は図面も公開されています。
□キャンバーエルロン
いなか工房のハヤブサ型グライダーには、前縁を上下に動かして翼のキャンバー角度を変化させるしくみも開発されています。
キャンバーを変化させることで、抗力と揚力を同時に上げることができ、旋回に入っても揚力の大きな変化がないそうです。このしくみのおかげでスピードのあるクイックな操舵が可能になるとか。
海外でも「鳥のように」という思いを抱いて、鳥型グライダーにチャレンジしているモデラーは何人もいます。
■R/C Gull
Birdworksというメーカーが製造/発売していたカモメ型グライダーR/C Gull。
高さ30mくらいの海岸スロープで、風速7〜8mくらいの条件が揃えば、このカモメはアクロ飛行までできたそうです。
2008年からはZero Gravityにビジネスは移行され、進化したバージョンが2010年まで発売されましたが、現在は終了。再発売を嘆願する人も多いようです。詳細はRC Groupsで。
新旧タイプ両方のカモメ型グライダーを比較した写真で、翼や尾羽が大きい方が新タイプ。
新しいタイプの胴体と翼の各パーツ。
フック。
実は透明な垂直尾翼も付く。
翼端にも・・・。
組み上がったら海岸スロープへ。
ZZ TOPみたいなおじちゃんも、かもめが好き!!
■Mouette Radio-commandée
ドイツ製のカモメグライダー。
2006年更新の記事ですが、今でも購入できるのかどうかは不明。
ドイツの開発したサイトですが、更新は2006年で止まったまま。
グライダーを改造した実験機でキャンバーエルロンを試していますね。
■Flying Wing
こちらもドイツらしい全翼機のHPを主催するロバート氏。
独自に開発した全翼機モデルが多い彼の作品?の中に、イヌワシやイーグルの鳥型グライダーもあります。2つある彼のHPで芸術的な方は入り組んでいるため、すぐに迷子になります。
こちらがわかりやすいチェコのHP。
MILANというページ
同じ名前の別ページ。
翼端にドラッグラダーらしき動翼。
こちらはムービーも公開されているAdler(イヌワシ)、
カラーリング前の白い機体には垂直尾翼が付いています。
Steinadler(ゴールデンイーグル)
■R/C Albatross Project
こちらは絶滅危惧種であるアルバトロス(アホウドリ)の研究用に製作された鳥型グライダー。
HPには各パーツの製作途中の写真が公開されています。素材はバルサがメインのようですが、剛性のある美しい機体に仕上がっています。
■Bob Hoey
Bob Hoeyの鳥型グライダーは以前に紹介したことがありました。
彼の開発した鳥型グライダーは、TWITT(THE WING IS THE THING)のメンバーズコーナーに現在も掲載されています。
彼は鳥型グライダーの開発では有名なモデラーのようで、Turkey Vulture(ヒメコンドル)のプランは現在でも発売されています。
キットもあったのかもしれませんが、このヒメコンドル組んで飛ばしたら本物に囲まれてしまい、15分くらい一緒に空のランデブーを楽しんだというムービーがあります。
競技用グライダーの進化とは違ったジャンルとして、自然を理解しながら鳥たちとの関係を継続していく鳥型グライダーの開発は、羽ばたき機と同じようにゆっくりとですが、確実に進化しています。
材料工学、搭載メカの軽量化、2.4G双方向システム、センシング、プログラミングなど、うまく使いこなすことで個人でも、チームでも、おおいに可能性のあるジャンルだと感じました。
無尾翼機製作のノウハウに役立つ情報は、RC飛行機実験工房の無尾翼Q&Aが参考になります。
翼竜型のRC模型もあります。(^ω^)
http://www.randrmodelaircraft.com/media/cat.pdf
トップページはこちら
http://www.randrmodelaircraft.com/
投稿情報: 実験工房Sekiai | 2011/04/08 07:29
コメントいただいたR&Rでも以前鳥型グライダーを扱っていたんです。恐竜型にはまだ気持ちが届きませんが、より科学的か芸術的なセンスが必要になりそうですね!!
投稿情報: 栗田 | 2011/04/09 15:56