今晩は、毎年楽しみに見てきた「鳥人間コンテスト」のTV放映がある日。
滑空機部門に登場する力作の機体を見る度に思うことがあります。
1977年に始まったこの大会、最初からTVのこちら側で観戦してきたのですが、大会概要に掲げられているように、確かに一般視聴者の航空機に対する関心の高揚には役だってきました。しかし、実際に人間が操縦することができる滑空機との距離が縮まったかというと、この34年でその歩みはわずか。
日本の社会で、スカイスポーツを楽しむという活動は、まだ残念ながらあまり広がらない現実があります。
そんな中、戦前の日本で楽しまれていた初級滑空機 Primary Glider(プライマリー・グライダー)を飛ばす文化を復活させようと、活動を始めている人々がいます。
初級滑空機はパチンコ打ち出し式の「ゴム索発航(バンジー)」が原点。
人間数名が人力で引っ張る必要があるため、チームを組み、1人(パイロット)のためにみんなで協力する。これが青少年の健全育成に効果があると始めているのが野田スカイスポーツ振興会の「野田関宿少年少女グライダーアカデミー パイロットへの道」です。
プライマリー・グライダー GAPAを使った操縦訓練の様子がYouTubeに紹介されています。
現代に通用する国産のプライマリー・グライダーGannet-Pr.の開発に力を注いでいるのは、鳥人間コンテストの参加経験者でもある四戸氏が代表の航空機開発会社のエアークラフト・オリンポスです。あのナウシカのメーヴェに似た無尾翼機「M-02/M-02J」を開発した会社と言ったほうがわかりやすいですね。
国内では1980年代以降、初級(ゴム索発航)・中級(ウインチ発航)機の日常的運航は行われなくなったといいます。でも、この傾向はアメリカでも同じのようで、あれほど実機パイロットへのハードルが低いと思われているアメリカでも、ライセンス取得の費用は高価になるばかり。
それを嘆いて、プライマリー・グライダーを使った製作と操縦学習を提唱する人もいるくらいです。
サンフランシスコからロスへ下る1号線カブリロハイウェイの海岸沿スロープで、ハンググライダーに混じって、自作のプライマリー・グライダーを楽しむパイロットたちを見たことがあります。やっぱ、スロープは怖いけど、発航は楽ですね!!
私たちも環境を守りながら、プライマリー・グライダーを楽しむことができる活動に協力していきたいものです。そんなことを考えながら、鳥人間の番組を見ることにしましょう。
私たちとかち航空研究会は実際にプライマリーグライダーを作ってみようと作ったサークルです。
私自身もグライダーを250時間ぐらい飛んでいるのですが、やはり費用面で本当にお金持ちの遊びにしかなっていない現実を見てきました。
そこをブレークスルーさせるのはこういったグライダーの自作と考えています。
投稿情報: 高橋徹哉 | 2012/09/08 22:45