YSFC顧問の原田さんが製作してくれたインシデンス・CG測定器(詳細はSado-SFC参照)を使うようになって、自分が飛ばしているグライダーの調整が以前よりも正確にできるようになりました。
このような装置が手元にくると、グライダーの正しい調整方法を知りたくなります。国内で出版された本では、役に立ちそうなコンテンツを紹介したものはみつかりません。海外ではいろいろ書籍が出版されているようですが、手短なのがこんなDVDタイトル。
・PERFORMANCE Tuning FOR GLIDERS
過去にいくつか手を出して失敗しているので、内容の吟味は慎重になります。
幸いRC GroupsのフォーラムにこのDVDのレビューがあったので、チェックしてみました。
グライダー各部の取付寸法やリンケージロッドの計測などは参考になりますが、いろいろな計測器が登場するのはコマーシャルベースな感じです。難しいV尾翼の調整など、実践的で役に立つのですが、基本的な理論の説明はあまりありません。
次に調べたのは、以前「ELFと2機のBUG、そしてApogee」のエントリーで紹介したMITのMark Drela 教授が開発したRC グライダー「Apogee」のサイトに掲載されていたいくつかのレポートです。
彼がこれまでにデザインしたグライダーのプランが公開されている「Charles River Radio Controllers」のHPで、トップページ上にあるメニューのLibrary & DocsからArticles Archives をクリックします。
このページに掲載されている彼のグライダーは9機ですが、プランが紹介されているのはAegea 130" wingを除く8機。
・Allegro 2.0m
・Allegro-lite and Allegro-E-Lite 2.0m
・Apogee 0.76〜1.0m
・Bubble Dancer 3.0m
・Aegea 2.0m
・Aegea 130" wing(Coming soon!)
・SuperGee I 1.5m
・SuperGee II 1.5m
・Supra F3J 3.4m
その中で、SuperGee IIのページの最後に掲載されていた次の2つのレポート。
当然、記述はすべて英語なのですが、この文章を日本語に訳して公開してくれているのが、Y-projectのたかいさんのHPです。
・Using the Rudder in Thermal Flying(サーマル内でのラダーの使い方)
・Center of Gravity(重心位置)
たかいさんは他にも、Mark Drela 教授に関した内容で2つの翻訳タイトルをUP されています。
・Basic Aircraft Design Rules(飛行機の基本的な設計基準)
・英語版オリジナルリンク(PDF)
・エルロンディファレンシャルは必要か?
英語版:SALgrider MLのまとめ
私が現在のレベルでインシデンスとCGの調整にたいへん参考になったレポートは、「Basic Aircraft Design Rules(飛行機の基本的な設計基準)」と「Center of Gravity(重心位置)」でした。
調整とは直接関係ありませんが、「Using the Rudder in Thermal Flying(サーマル内でのラダーの使い方)」もわかりやすい図説のおかげで、これまではっきりしなかったラダーの使い方を理解することができました。
翻訳者のたかいさんはSuperGeeの製作を通じて、RCグライダーに関するプランやノウハウをすべて共有知として公開し、自らもRCグライダーを積極的に製作/フライトさせているMark Drela 教授の姿勢に感動。ご自分が翻訳されたレポートもみなさんの役に立てばと思い、公開されているとのことでした。
Mark Drela 教授は次の3機のプロダクト機以外にも、人力機や風力カーなど新しい分野においても活躍されています。
・SUPRA F3J/TD
・Blaster 3
・ELF
・Daedalus(人力機)
・Downwind car(風力カー)
Directly downwind faster than the wind, n — a.k.a. DDWFTTW.
今月の9〜11日には、仙台で開催された「ICFD 2011 第8回流動ダイナミックスに関する国際会議」に総会講演者として来日していました。
この国際会議はGCOE「流動ダイナミックスと知の融合教育研究 世界拠点」事務局の運営、東北大学のバックアップで行われました。
Mark Drela 教授が発表されたテーマは「Title:"Low-Order Aeromechanical Modeling for Conceptual Design of Fuel-Efficient Aircraft"」とのこと。
ドレラさんは人力ボートでも
スピード記録を作っていますね。(^ω^)
http://lancet.mit.edu/decavitator/
投稿情報: 実験工房Sekiai | 2011/11/21 13:10
調べていたらそのボートも見つかったのですが・・・、パスしておきました。
彼が公開してくれているApogee や SuperGeeを自作してみたのですが、まだスキルが足りません。もう少し勉強してから・・・・ですね。
投稿情報: 栗田 | 2011/11/21 16:13
こんばんは、はじめまして。
東京都三鷹市在住の市川と申します。
ドレラ博士と風力カーのことは、驚きました。
ここでの風力カーとは、追い風で走り、更にその風より速く走るという「ブラックバード」のことでしょうか。
上記写真のブラックバードについては、私自身は悪質なジョークだと思っています。
突然失礼しました。
投稿情報: slopeHunter | 2012/05/13 22:10