カリフォルニアで38年前につくられ、伝説になっているグライダーがあることを知ったのは1年ほど前のことでした。サーフィンのボードがロングからショートボードに移り、普及し始めていた1974年3月、金型を使用して量産されるサーフィンのモールドボードと同じ加工方法でグライダーを開発した会社があったのです。
サーフボードや小型ボート、ヨットなどを製造してきたホビーモデル社は、その技術を応用して新しい素材による翼と胴体を持つグライダーHobie Hawkをデビューさせます。
発泡ウレタンフォーム(スタイロフォーム)をコアにした、アベチ板貼り、モノコートフィルム貼りの美しい曲線による上反角の主翼。
3ピース構造の胴体は、ポリエチレンロトモールドのノーズコーン、7層のグラスファイバー胴、ABSプラスチックの尾翼取付アセンブリからできていました。同じ時代のバルサ組で組立てられた他社のグライダーと比べると、分解、組立が可能で、専用ボックスにすべて収まり、携帯できるデザインはたいへん先進的だったのです。
当時、ホビーモデル社が宣伝用に製作したムービーがYouTubeにUPされています。
コントロールは2chで、フルフライングのエレベータ、ラダー。
特徴のある曲線を描く主翼は、コアのスタイロフォームをトップ1/32インチ(約8mm)、ボトム1/64(約4mm)のプライウッドでラミネート。
その後、ジグに添って肉抜きカットされます。
驚くことにコアにはスパー材すら入っておらず、前縁にパイン材が1本通っているだけ。ルート部分と翼端には成形されたABSプラスチックのパーツが接着されています。
3ピース構造の胴体、左からポリエチレンロトモールドのノーズコーン、7層のグラスファイバー胴、ABSプラスチックの尾翼取付アセンブリ。
この製造ラインの工程写真は後年ライセンス生産されたときのものですが、オリジナル機と同じくたいへんシンプルなつくりであることがわかります。軽量な仕上がりの主翼ですが、同時に折れやすかったようです。
付属する詳細なマニュアルには、破損した翼の修理方法まで記載されています。
■スペック
主翼スパン:2,500mm
全長 :1,050mm
キット重量:850g
キットの構成は次の写真のようになっており、後からフィルムの貼られたRTF製品も発売されました。
89ドル × 360円=32,040円(※大卒の初任給が9万円前後の時代)
RTFキット129ドル × 360円=46,440円
14,000機ほど販売されたHobie Hawkは、その後、以下のリストのように3回ほどライセンス生産する会社が代わりながらも製造は続きました。こうして、発売当時、リアルタイムでその高性能機を味わうことができなかった世代も、20年近くその勇姿を楽しむことができたのです。
■Hobie Hawk略歴
1977~1979年:Hobie Hawkとツーリングは、インディアナ州中西部のホーバートにあるプロダクツ会社に売却され、"Midwest" Hawkとして製造され続けた。
1979年2月 :ツーリングをBob Martin氏のRCモデルが購入
1980年6月~1986年7月:約4,500機のHobie Hawkを製造
1990年:ロスモデル社スパークスのデニス·ロスは、ボブ·マーティンからHobie Hawkツーリングを購入
1994年:デニス·ロスが最新バージョンのフル生産とホークの限定生産を実行(ホビーホーク20周年)
現在でも時々、eBayなどのオークションに出品されますが、程度の良いキットは高価な入札金額で落札されています。リアルタイムで入手して楽しんできたモデラーたちも、レストアしなおしたり、モータグライダーに改造して飛ばし続けているムービー報告をYouTubeで見つけることができます。
ここから先の話は私事ですが、先週、偶然にも2機のHobie Hawkが国内のYahoo!オークションに出品されているのをみつけました。
1機はモデル名の表示も詳しい経歴説明はないものの、2カ所のフィルム破れがあるだけで、破損箇所のない良品。もう1機はオリジナルボックスに納まり、マニュアルまで揃っていますが、胴体尾部と主翼左翼が折れており、尾翼にも故障がある要修理品。結局、問題の少ない前者は入札者が多く集まったので見送り、人気のない後者を一人の入札者と競って、安価で手に入れることができました。
現在、手元に届いたHobie Hawkをレストア中ですが、その報告エントリーはこちらをご覧ください。
私は当時に入手、最近までリッジ・サーマルと楽しんでいました長寿命の機体でありました コメントされていました翼の強度については実は呆れるほど丈夫(複合素材採用で機体重量が増えたのでは、、、)でした またこの設計者はホビーキャット14・16と言うカタマランも設計(ヨットの横流れを船型の非対称で揚力を発生させる先鋭的な設計者で私も乗っていましたが現実はびっくりするような揚力はありませんでしたが、、、)で岬を回航中リッジソァリングする鳥を見て設計製作したと聞いております リフト性能は当時始めましたロガロタイプのハンググライダーの発進前の風見用に飛行させていましたので比較的重い風にあっていた様に思います、、、と言う事で懐かしさでコメントさせていただき失礼いたしました
投稿情報: tamtam | 2012/12/20 11:39
楽しいコメントをありがとうございます。
リアルタイムでフライトされてきた方のご意見、たいへん参考になります。
レストア中のHobie Hawkは経年劣化なのか、発泡コアとプランク板材の接着が弱くなっているように感じました。
どんなグライダーも難しいのは着陸ですが、エレベータ/ラダー機でこのサイズ。ブレーキがないので、注意して初飛行させようと思います。
投稿情報: 栗田 | 2012/12/20 13:54
家にありますよ!メカは古いので乗せ換えすれば飛ばせます。
投稿情報: ken.west | 2013/03/01 08:13
ken.westさん、こちらにもコメントをありがとうございます。
古いモデルですが、がんばって飛ばしてください。
投稿情報: 栗田 | 2013/03/01 12:00
私も昔主翼を一度折っていますエポキシの接着剤でつないてグラスウールでポリエステル樹脂で補強して直しました。私の場合は主翼の付け根でした。
投稿情報: ken.west | 2013/03/01 12:51