昨年10月末、超小型飛行体研究所が発表した「TB30プロジェクト」は、超軽量30g台の機体重量、スパン1メートル前後の撓る翼でゆっくりとした羽ばたき飛行ができる、これまでにだれもチャレンジしたことのない羽ばたき機でした。
提唱者であるとしちゃんの呼びかけに、数名のチャレンジャーが手を挙げます。その中には、当YSFCの技術顧問である鈴木さんも参加していました。
12月02日 UNA3 TB30のフライト
としちゃんとふしみさんのTB30 羽ばたき機成功のニュースは、海外のRCGroupsのフォーラムでも紹介され・・・、その成功を受けて、Dr.角田(日本を代表するRC羽ばたき機の開発者)は自身の開発したArticulated wings(関節翼)の羽ばたき機紹介スレッド「Kazu Ornithopter: SeaGull 24iV-4 with Articulated wings: Test Flight and Test Gliding」で、11月23日に50g以下の軽量羽ばたき機開発を目標にした1号機「GosHawk 26iV」を発表。その紹介文には「It follows TB30」の一行が付け加えられていました。
次にリンクしたYouTubeのムービーは、その開発経過を紹介するものです。
11月23日 GosHawk 26iV:
スパン94cm 機体長44cm 重さ55g (180mA 2セル/2mm EPP)
12月13日 GosHawk 26iV:
スパン94cm 機体長44cm 重さ69g (130mA 2セル/Orcon Film/New GLDAB)
12月16日 GosHawk 26iV:
スパン94cm 機体長44cm 重さ69g (130mA 2セル/2mm EPP)
12月23日 GosHawk 26iV:
スパン94cm 機体長44cm 重さ79g (160mA 2セル/2mm EPP/New GLDAB)
■スペック
Receiver: OrangeRx R415 Spektrum DSM2 Compatible 4Ch Micro 2.4Ghz Rx
Servo: HK-5320 Ultra-Micro Digital Servo 1.7g*2
Motor:C05XL Micro Brushless outrunner 10800kv
ESC: Cosmotec 7A 4.4g Max Power CT-7A V2.2
Main Gear:GWS Spur Gear IPS A 82TM0.3
Second Gear: DIDEL M0.3 Outer 60T Inner12T SpurGear G260
(inner 12Tgear was exhaged by GWS 12T M0.3 copper pinion gear)
Third Gear:DIDEL Outer48T Inner12T M0.3SpurGear G348
PinionGear:M0.3 9T
※個人的にはこのギアの使い方に教えられました!!
Battery:Lipo2cell130mAh G3, 2cell160mAh G3,2cell180mAh G3
Wing: 2mm EPP
Control: 3CH (a motor, inverted Vtail: 2 servo)
Gliding system:New GLDAB
角田さんが完成させた軽量羽ばたき機、その注目すべき点は・・・・?
としちゃんが研究所のブログエントリー「迷宮の折れ曲がり TB30プロジェクト発足」の中に書いていた次の内容、その設問への答がGosHawk 26iVには盛り込まれています。
本来クランクロッドを1.5mmや2.0mm(ピアノ線の太さ)にしてモジュール(平ギアの歯のサイズ)を0.4とか0.5にし、各パーツを分割して各パラメーターを追い込む方法も考えられますが、我々は過度な強度と重量増から生じる構造重量の負のスパイラルとそれらに伴う羽ばたき周期の増加を予感する為、ガッチリ系試していません。
とにかく軽く最低限の強度で、ゆったり羽ばたくがテーマです。巡航2Hz台あたりただそうは言ってもドライブ関連をガッチリさせた50g台スパン120cm程度で、ゆったりした飛行が出来る構成バランスも存在するかもしれません、そういった方向のアプローチも有りだと思います。うまくいったら是非教えて欲しいです。
これまでに角田さんが製作した最重量クラスは、3セル仕様で機体重量700g台。それに比べ、今回のGosHawk 26iVは機体重量70g台と1/10の重さで仕上がっています。インドア機や小型の超軽量機を自作した経験がない方には、機体材料や搭載メカを、より軽量なバランスで仕上げていく難しさは、理解できないかもしれません。
としちゃんが公開した文章でも、その難しさがあるために、自分たちが日常製作し慣れている重量帯でTB30のコンセプトを成立させたのです。同じ製作方法が50g台、70g台、100g台、150g台で通用するかどうか、それは誰かが試してみない限りわかりません。
TB30に続けと、50g以下の羽ばたき機を目標にした角田さんですが、70g台でもそれが可能であることを立証してくれました。
昨年、festoの「SmartBirdに続け」と150g台の鳥型羽ばたきラジコン機を成功させたHiroさん。
彼のガル翼羽ばたき機を実際に検証した鈴木さんの感想は「強い精神力と独学で完成させた軽量な機体」に成功の裏付けがあると語ってくれました。
ヘリコプターのジャンルでは、すでに軽量化、スケールダウン、操縦性/安定性の向上/低価格化という進化をパスしてきました。
それに比べると、羽ばたき機の進化はまだ始まったばかりかもしれません。でも、日本のOrnithoptersモデラーたち、今年は世界を牽引するパワーを持っているように感じます。
掲載ありがとうございます。TB30とFushimiBirdから大きな影響を受けました。現在多用しているTurnigy 1811 3800kv ブラシレスモーターを使った120-140gの大きさの羽ばたき機を、大きさはそのままで軽量化して小さなモーターで飛ぶかどうかの実験でしたがOKでした。関節がある翼の開発も進み、大きく前進しました。GosHawk26iVの次のステップは関節がある翼の製作です。関節がある翼の羽ばたき機では153gのSeagull24iV-4がSmartBirdと同等かそれ以上の飛行性能を得ることができました。
http://www.youtube.com/watch?v=EX3-1JNSoXI
投稿情報: 角田和彦 | 2013/01/18 16:02
Articulated wings機能が付いた羽ばたき機の開発も拝見しています。
驚くのは製作/改造のスピードが早いこと。それと使用可能なパーツのチョイスでも教えられることが多く、参考にしています。
素朴な質問ですが、DidelのM0.3ギアと真鍮のピニオンギアを組合せた2番目、3番目の加工は、どのような方法でシャフトを固定されているのでしょう。圧入しているだけですか?
投稿情報: 栗田 | 2013/01/19 16:29
DidelのM0.3ギアの内ギアの出っ張りを削り、中心の穴からGWSM0.3 12TPinionGearの大きさより少し小さく穴を開け、ギアを押し込んで瞬間接着剤で固定。シャフトは1.4mmピアノ線を差し込んでいるだけです。摩擦で真鍮のギアが磨耗するので1回取り替えました。メインのGWSM0.3 82Tギアは内径が3mmですので、外径3mm内径2mmのアルミパイプ、外径2.1mm内径1.5mmの真鍮パイプを差込1.4mmピアノ線をシャフトに使っています。Dideギアだけは負荷が大きすぎて欠けてしまうので、この方法を使いました。
投稿情報: 角田和彦 | 2013/01/19 20:34
以下にArticulated WingsによるGosHawk26iVの飛行をUPしました。
http://www.youtube.com/watch?v=kDEBFq7jX_Y
投稿情報: 角田和彦 | 2013/01/20 13:07
角田さん、工作方法を詳細に説明いただき、ありがとうございました。早速、試してみるつもりです。
GosHawk26iVのムービーも拝見しました。いい感じの羽ばたき周波数で、一瞬、角田さんが鷹匠に見えました!!
いつも撮影役をされている息子さんのご苦労にも感心しています。これからも開発報告を楽しみにしています。
投稿情報: 栗田 | 2013/01/21 17:37
ラジコン技術3月号に「羽ばたき機の原理と作り方」という題名で、記事が載ります。
興味ある方は見てください。
投稿情報: 角田和彦 | 2013/02/08 19:45