佐渡を訪れた原田さんが東京に戻った後、グライダーの調整にとロバート製のインシデンス・メーターを送ってきてくれました。それから約半月経ち、自分用に製作していたインシデンスとCG計測ができるバランサーを完成。使ってみると自分が所有するグライダーにはサイズが小さいことがわかり、「佐渡で使ってほしい!!」ということで、昨晩、実物が届きました。
製作途中でも、必要な機能としくみについて話を聞いていたので、詳しい説明がなくても、なんとか専用ケース(何度も海外旅行を経験している)から取り出して、分解されている装置を組み立てることができました。
その後、Skypeで使い方のレクチャーを受けたのですが、これが難しい!!
簡潔に手順を書いてみましたが、これであっているかな。
①バランサーのベース台を固定している3本のアジャスターを上下に動かして、前後左右が水平になるよう調整する
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台に取り付けてある泡水準器を確認
②機体を載せるバランサー本体が水平になるよう、前に付いているウエイトを前後に動かして水平になるよう調整する
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本体後方に付いている泡水準器を確認
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本体のセンターにも0バランスを示す針がある
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水平になったら後方にあるロック装置をON側に動かす
③計測する飛行機を本体に載せる
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設計者指定のCGポイントになるようメジャーに合わせる
④インシデンス・メータを水平尾翼に取り付ける
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針が0バランスになるように後方中央に付いている上下アジャスターで調整
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ここで機体のCGを再確認する場合は、インシデンス・メータを外し、後方にあるロック装置をOFF側に動かす
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バランサー本体と機体が水平を保つか確認
⑤主翼と水平尾翼の取付角度を比べるときは、後方にあるロック装置をON側に動かす
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水平尾翼と主翼ルート側にインシデンス・メータを取り付ける
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両方のインシデンス・メータの値を確認
こうして書いてみると一見、簡単そうですが、実際にやってみると自分がふだんいかに適当だったのか、再確認しますね。
自分が飛ばそうと準備している飛行機の重心位置を知らなかったり、マニュアルやプランなどに示されている数値を確認しないで、「現場合わせ」で飛ばしている人は困惑するでしょうね。
原田さんもこれまでは目視によるインシデンスの確認くらいで、正確に調整することがないまま、「現場合わせ」でグライダーを飛ばしてきたパイロットだと言ってました。その原田さんが、この装置を製作してみて、反省したというのです。
甘く見ていた微細な調整代が、実際にこのような装置にかけて実測してみると、飛行に大きな影響を及ぼしていることがわかったからです。
グライダーの場合、飛ばし方や風の条件などでもかわりますが、動翼設定角度が1度違うだけでも、その飛びは大きく変化します。
一応、装置の目的である計測装置や調整方法はうまく動いています。しかし、さらに扱いやすく、正確に計測できるように改造する余地は残されているのです。
・CG位置が決まった機体を固定する装置(原田さん試作)
・機体の縦重心が上部にある場合、バランサーセンターにウエイトを載せて重心位置を下げる(この装置は実装されています)
・軽量な発泡機などに取付可能な軽量なインシデンス・メータ(原田さん試作)
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デジタル式インシデンス・メータ
レーザー式インシデンス・メータ
iPhoneなど、スマートフォンのAPP
デジタルセンサーとリーダー
国内で調べてみても、簡単な重心測定器が数点発売されているだけで、自分の飛行機のインシデンスまで、独自に調整しているモデラーは少ないようです。
国内製品
海外製品
海外では、市販の装置をうまく使い、オリジナル装置を工夫しているモデラーがみつかります。ARF機が増え、図面や取説すらない市販モデルが増えています。「高級機ならしっかりできているだろう」というのは過剰な信頼のようで、各部のインシデンスがくるったモデルも少なくないようです。
佐渡のメンバーが積極的に使ってくれるといいのですが。
この装置の扱いをマスターできれば、必ず次のステージにUPできることは間違いないと思います。製作者である原田さんに感謝をしつつ、さらに扱いやすくする改造も含め、みんなでうまく使っていきましょう。